
1.暴落時の購入の課題を理解
暴落時は最高のチャンスである反面、「落ちるナイフを掴む」、「プロやAIに高値掴みさせられる」、「感情的になってしまう」といったリスクも高まります。まずは、この課題をしっかり理解しておくことが重要です。
プロやAIに高値掴みさせられる
株式市場の暴落時には、情報武装したプロの投資家やAIが一斉に動き出し、市場の動向を巧みにコントロールしようとします。彼らは膨大なデータと高度なアルゴリズムを駆使し、個人投資家の心理や動きを先読みして、優位な取引を仕掛けてきます。プロやAIに個人が駆け引きで勝つのは極めて困難です。
こうした局面で感情に流されて行動すると、プロやAIの“罠”にはまり、思わぬ損失を被るリスクが高まります。つまり、落ちるナイフを掴まされます。
暴落時は感情に流される
日経平均が急落、S&P500が大幅下落──。
暴落ニュースが流れると、つい焦って「今こそ買い時?」とスマホを握ってしまいがち。
暴落という限られた時間の中で最適な行動をするのは、想像以上に難しいものです。私自身、過去にこんな失敗をして悔しい思いをしました。
❌ 予定より多くの資金を投入してしまう。
いつの間にか予定以上の資金を投入してしまい、気づいた時にはリスクが膨らんでいる。予想以上のさらなる下落により、資金が枯渇し、結果的に機会を逃すことに。つまり、落ちるナイフを掴んでしまいます。
❌ 結局、資金を投入できずにチャンスを逃す。
資金投入のタイミングを慎重に見計らいすぎた結果、暴落直後の市場回復の好機を逃してしまい、本来期待できた大きな利益の機会を取り逃すことになります。
❌ よく知らない商品に手を出しそうになる
「これ、知らない商品だけど安くなってる。将来性はどうなんだろう?」と、急いで調べ始める。
でも、情報を集めるうちに時間切れ。買うべきタイミングを逃してしまいました。
❌ 割安商品が多すぎて迷ってしまう
「あれも安い、これも安い…」と候補が多すぎて、逆に判断力が鈍ってしまう。
結局、悩んでいるうちに価格が戻り、機会損失に。
こうした失敗を通じて気づいたのは、暴落時は“その場で考える”のでは遅すぎるということ。あらかじめ購入候補や予算、判断ルールを決めておくことが非常に大事です。
今では、適切な知識と準備をもとに、暴落を“迷いなく活かせるチャンス”に変えることができるようになりました。
2.暴落時の買い方とは?
以降では、暴落時に冷静かつ効率的に資金を運用するための「暴落買いのルール」を、4つのステップに分けて解説します。
- まず、投資に回す予算を明確に設定し、資金の使いすぎを防ぐことが基本です。
- 次に、将来の成長が期待できる、いわゆる右肩上がりの資産(例えば、S&P500連動のETFなど)を選定することで、安心して長期投資に臨みます。
- さらに、あらかじめ決めた下落率に応じた段階的な購入ルールを策定し、平均取得単価を有利にコントロール。
- 最後に、暴落当日は感情を排除して、事前に設定したルールや指値注文を活用し、自動的かつ機械的に取引を実行することが勝利の鍵となります。
このルールを守ることで上記で述べた暴落時の課題を解決し、安全に暴落に立ち向かえます。
3.4ステップで準備する「暴落買いのルール」
STEP1|予算を決めておく(今回は200万円の例)
まずは使う予算をあらかじめ決めておきましょう。
暴落時はつい多めに買いたくなりますが、それで資金が尽きてしまっては本末転倒。「これ以上は使わない」というラインを引いておくと、冷静でいられます。
STEP2|購入する商品は「右肩上がり」を中心に選ぶ
暴落後にさらに下落が続いても将来的には上昇する右肩上がりのインデックス(例:S&P500)が特におすすめです。このような商品は、暴落以外で大きく下げることはありません。こうした長期的に成長が期待できる商品は、暴落時に割安な価格で仕込める数少ないタイミングです。
ETF(上場投資信託)は、暴落時にとても有利です。できれば投資信託よりもETFの方がおすすめです。
ETFが向いている理由
- リアルタイムで売買できる(投資信託は1日1回の基準価格なので、買いたい価格で買えない)
暴落時は「一瞬のチャンス」で価格が跳ね返ることもあります。リアルタイムに動けるETFは、まさに機動力が命の局面にぴったりです。
おすすめのETF候補(例):
- VOO(米国S&P500連動):米国経済を代表する優良企業500社に広く分散。
- VT(全世界株):先進国から新興国まで、世界中の株式に分散。
- VYM(米国高配当株):安定した配当を出す大型株中心。暴落時も値下がりが比較的マイルド。
- GLDM(金):インフレや金融不安に強い「守りの資産」。
ETFに慣れていない方は、暴落前に一度、少額から買ってみて練習しておくことをお勧めします。証券サイトの使い方、ドル転の方法等、慣れておくことで、暴落当日に焦らずトレードできます。
とはいえ、ETFに慣れていない方は、まずは投資信託からでも問題ありません。
なぜなら、暴落は「数日〜数週間」にかけて進行することも多く、リアルタイムでなくても段階的な買い下がり戦略は十分に機能するからです。無理にETFにこだわらず、まずは自分が使いやすい商品で実践してみるのが大切です。
STEP3|「何%下がったら買うか」ルールを作る
たとえば、高値から最大50%の下落を想定して、10%ごとに4回に分けて買うという戦略。
具体的には:
- 市場が20%下落 → 50万円購入
- 30%下落 → 50万円購入
- 40%下落 → 50万円購入
- 50%下落 → 50万円購入
分割して購入するメリットは、全体の平均取得単価を下げることと、リスクを分散できる点にあります。最初に一度に全額を投入するのではなく、価格が下がるたびに一部ずつ購入することで、さらなる下落があっても追加投資が可能となり、結果として平均購入コストを下げることができます。
これは”落ちるナイフを掴むを避ける”ことを意味します。
20%をスタートしているのは、一般的に、株価が最高値から20%下がると“弱気相場(ベアマーケット)”入りとされ、歴史的に数年に1度の大きな買い場になることが多いです。10%だと毎年、発生するレベルですが資金に余裕がある人は10%からスタートしてもOKです。
50%をゴールとしているのは、歴史的にS&P500や全世界株式が50%以上、下落したケースは数回しかなく、仮にそれ以上に下げたとしても十分な利益を享受できるからです。
1日で50万円全てを投入する勇気がない場合もあると思います。その場合は、5日間かけて、毎日10万円ずつ購入する方法もおすすめです。以下のように期間で分散します。
- 予算:50万
- 期間:10日
- 1日あたり:5万
- 対象:S&P500
60%や70%までの下落も考慮したいと思う人もいるかもしれません。その方法でもまったく問題ありません。重要なのは、自分のリスク許容度や資金計画に応じて、無理なく続けられるルールを設定することです。
STEP4|暴落当日は「感情を捨てて機械的に」動く

暴落当日、SNSでは不安の声が飛び交い、メディアは「リーマンショック級」「世界同時株安」などと煽ってくるでしょう。
そんなとき、冷静な判断をするのは本当に難しいものです。
だからこそ頼りになるのが、あなた自身が事前に作った「購入ルール」です。
あらかじめ決めていた下落率に達したら、選定済みの商品を、予定していた金額だけ機械的に購入します。
ここで重要なのが、「感情を一切排除する」という姿勢。
さらに、証券口座で“指値注文”を事前に設定しておくのもおすすめです。
これにより、価格が目標水準まで下がったときに自動で約定し、自分の感情や迷いが介在しなくなります。
この「自動で買える仕組み」をつくっておくことが、暴落時に理性的に、そして確実に行動するコツです。
4.まとめ:暴落は「準備していた人」だけのチャンス
- 暴落に備えて、予算・商品・下落率・購入ルールを用意しておく
- 「恐怖の中で動ける」投資家が、将来のリターンを得る
✅ チェックリスト(今からできる準備)
- 総資産の10%を暴落用に確保(例:200万円)
- 欲しい商品を3〜5本ピックアップ
- 下落率と購入金額の対応表を作る(例:10%刻み)
- スマホのメモ帳やノートに記録(暴落時に即実行できるように)
「一番大事なのは、嵐が来る前に傘を買っておくこと」。
暴落のタイミングは誰にも読めません。でも、「暴落が来たらこう動く」と決めておけば、
周囲が恐怖に包まれている中でも、あなたは静かに買い向かうことができます。
FIREに向けた長期投資、その“最大のボーナスタイム”を見逃さないために。
準備を整えておきましょう。
