PER|PERの基本 – 株価収益率が示す意味を徹底解説

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株式投資において、PER(株価収益率)は、企業の株価がその利益に対して割高か割安かを判断するための基本的な指標です。本記事では、PERの基本的な定義から、各種比較や歴史的平均との照らし合わせ、そしてPERが高い・低い場合の解釈まで、詳しく解説します。

1. PER(株価収益率)とは

  • 定義
    PERは「株価 ÷ 1株あたりの利益(EPS)」で計算されます。
    ※ここでの利益は、当期純利益
  • 基本的な意味
    PERは「投資額を企業の利益で何年で回収できるか」を示す指標です。実際は違いますが、企業のすべての利益が株主に還元される前提で考えます。
    例:PERが10の場合、「10年で元が取れる」という感覚で解釈されます。

2. 過去のPERとの比較

PERの評価においては、現在の値をその企業群や指数の歴史的な平均PERと比較することが有効です。以下は具体例です。

S&P 500の場合
– 過去のPER平均:おおよそ15~20倍(長期的な市場全体の評価基準)
– 現在のPER:例えば25倍であれば、過去の平均より高い水準となり、市場が将来の成長に強い期待を持っている、または過剰評価されている可能性があります。

SCHD(高配当株ETF)の場合
– 過去のPER平均:高配当株は比較的安定しているため、PERは10~15倍程度であることが多い
– 現在のPER:例えば20倍であれば、過去の水準より少し高い水準となり、安定した配当を狙う投資家が多く、需要が高まっている可能性を示唆します。

NASDAQ 100の場合
– 過去のPER平均:成長株が多いため、PERは25~30倍以上になることが一般的
– 現在のPER:例えば35倍であれば、過去の平均よりさらに高い水準となり、市場がNASDAQに含まれる成長株の将来性に大きな期待を寄せているか、あるいは過剰評価されている可能性が高いです。

3. PERが高い場合の解釈

  • 成長株の場合
    将来の利益成長が見込まれる企業は、現在のPERが高くなっても投資家にとっては魅力的となります。たとえば、NASDAQ 100に含まれる企業は、将来の大幅な利益成長を期待して、高いPERが納得されやすいです。
  • 過剰評価のリスク
    ただし、PERが歴史的平均や業界平均と比べて著しく高い場合、企業の成長が実際に追いつかないリスクや、株価が急落するリスクが考えられるため、注意が必要です。

4. PERが低い場合の解釈

  • 割安株の魅力
    PERが低いと、株価が企業の利益に対して割安と判断されるため、特に安定した業績を持つ企業の場合、投資のチャンスとして注目されます。例えば、SCHDのような高配当ETFはPERが低めに推移し、安定した配当を期待できる点が魅力です。
  • 企業の問題を警戒
    しかし、PERが異常に低い場合は、市場がその企業の業績悪化や将来の成長に懸念を抱いている可能性もあるため、注意が必要です。

5. 結論

PERは企業や指数の株価が利益に対してどれだけ割高または割安かを示す有用な指標です。しかし、単独での評価は不十分であり、以下の点を踏まえて総合的に判断することが大切です。

・歴史的なPER平均との比較
・業界や指数ごとの特徴(成長株 vs 高配当株)
・金利環境や景気の状況、企業の将来成長率

これらを組み合わせることで、株価の適正性をより立体的に評価し、リスクとリターンのバランスを考慮した投資判断が可能になります。

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