PER|理論PERの本質 – 回収期間への金利・株価成長の影響

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株式投資の世界では、PER(株価収益率)は、株価の割高・割安を評価するための基本的な指標として広く使われています。理論PERの公式が持つ本当の意味を理解すれば、投資判断においてどのような心理や市場環境が反映されているかを読み解く手助けになります。ここでは、PERの基本的な意味と、金利や成長率がどのように影響するのかを整理しました。

実際のPER:投資額回収年数としてのPER

  • 定義
    PER = 株価 ÷ EPS(1株あたり利益)
  • 意味
    PERは「投資額を利益で何年で回収できるか」を示す指標です。
    たとえば、PERが10の場合は「10年で元が取れる」という感覚で捉えられます。
    ※この解釈はシンプルな目安として広く理解されています。

金利から出す理論PER:債券金利が与える影響

  • 金利の役割
    債券(国債)の金利が高い場合、安全に年4%などの利回りが期待できるため、株式投資においてリスクを取る意味が小さくなります。
  • 投資家の心理
    株式投資でリスクを負うなら、投資家は「債券より短期間で元本を回収したい」と考える傾向があります。
    その結果、国債利回りにリスクプレミアムを多く加算し、PERは低くなります。
  • 数式による表現
    PER = 1 ÷ r
    ※ここで、rは国債10年利回り+リスク・プレミアムを示す
    つまり、金利水準が高いと1÷rが小さくなり、PERが低くなるという理屈です。

成長率も考慮した理論PER:将来の利益成長が与える影響

  • 成長率の役割
    企業の将来の利益が大幅に成長することが期待される場合、現在のPERが高くても「将来たくさん回収できる」と判断され、納得されやすくなります。
  • 投資家の心理
    高成長企業は株価が上昇し、利益が大きく増えると見込まれるため、回収期間が長くてもその投資を許容する傾向があります。
  • 数式による表現
    PER = 1 ÷ (r – g)
    ※ここで、gは成長率を示す
    成長率gが高くなると、分母(r – g)が小さくなり、結果的にPERは高くなっても良いと理解されます。

まとめ

■ 理論PERは単に「株価が利益の何倍か」を示すだけでなく、  

・金利が高い場合は、国債との比較でより早く元本を回収したいという投資家心理が働き、理論PERは低くなる傾向がある。  
・一方、企業の成長率が高い場合は、将来の利益増加を期待して、たとえ回収期間が長くなっても高い理論PERが許容される。

■ つまり、理論PER = 1÷(r – g)という式は、国債のような安全資産の利回りと企業の成長率が、投資判断にどのような影響を与えるかをシンプルに表現しています。

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