PER|PERの活用方法!S&P500の現在のPERは割高?

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株式市場が上昇を続ける中、「今の株価は割高なのでは?」と気になる投資家は多いでしょう。この記事では、現在のS&P 500のPER(株価収益率)を例に、以下の3つの視点から検証プロセスを解説します。

・過去との比較(歴史的PER)
・米国債(10年)との比較
・理論PER(ゴードン成長モデル)との比較

PERの基本はこちら 【PERとは?】PERの基本とその解釈 ~ 株価収益率が示す意味を徹底解説 ~ 

1.前提条件

・S&P 500の現在のPER:22.7倍
・米国10年国債利回り:4.0%
・株式のリスクプレミアム:5.0%
・経済成長率(g):4.0%

2.歴史上の平均PERとの比較

【PER比較】
・長期平均PER:S&P 500の歴史的な平均は、約15〜16倍
・現在のPER:22.7倍

【解釈】
歴史平均よりも約50%高い水準。これは市場が今後の利益成長や楽観的な見通しを織り込んでいることを示唆しています。

3.米国債(10年)との比較

米国10年国債の利回り4.0%を逆数で換算すると…

国債のPER = 1 / 0.04 = 25倍

【PER比較】
・米国債10年:PER換算値 25倍 (安全資産:元本保証・低リターン)
・S&P 500:PER 22.7倍 (リスクはあるが、成長期待を含む)

【解釈】
S&P 500のPERは国債換算のPERより低いため、相対的に株式は割安と評価される可能性があります。ただし、株式はリスクがあるため、将来の成長が維持される前提となります。

4.理論PER(ゴードン成長モデル)との比較

理論PERの詳細はこちら
※本セクションは理論PERを理解してから参照ください。

ゴードン成長モデルに基づく理論値は、次の式で求められます:

PER(理論) = 1 / (r – g)

ここで、
r(期待リターン) = 4%(国債利回り)+ 5%(リスクプレミアム) = 9%
g(成長率) = 4%

計算すると、

PER(理論) = 1 / (0.09 – 0.04) = 1 / 0.05 = 20倍

【PER比較】
・理論PER:20倍
・現在のPER:22.7倍

【解釈】
市場は理論的な適正水準(20倍)よりやや高く評価されています。これは市場が企業の将来の成長期待(gの拡大)や国債利回り低下(rの縮小)を織り込んでいると考えられます。

5.それぞれPER比較手法の活用場面

ここでは、PER評価手法ごとの具体的な活用場面を整理します。

① 【歴史的PERとの比較】
 ・主な活用場面:
  - 割高・割安の直感的判断
  - 景気循環との関連性の評価(例:バブルや暴落前の水準との比較)

② 【債券との比較】
 ・主な活用場面:
  - 株式と債券の相対的魅力度の検証(アセット配分判断の材料として)
  - 中央銀行の金融政策や金利環境を踏まえた比較

③ 【理論PER(1/(r – g))との比較】
 ・主な活用場面:
  - 株式の理論的妥当価値とのギャップ分析
  - 長期投資戦略で、将来の成長や国債金利の変化をどれだけ織り込んでいるかの評価

6.おわりに

PERは「株価が利益の何倍か」というシンプルな指標ですが、複数の視点から評価することで、より立体的な判断が可能になります。
例えば、歴史的な水準、債券との相対評価、そして理論値との比較など、いずれも投資判断の大切な材料です。
これらを組み合わせて、リスクとリターンのバランスを考慮しながら、賢い投資判断を目指しましょう。

以上が、追記部分を含めた最新版のブログ記事の内容です。必要に応じてフォントサイズや書式を調整してご利用ください。

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